オトキチ
風が吹くまま 4Kニューマスター版
2026-02-09如何にもイラン映画らしい映画。特に大きな設定も物語もなく、日常の暮らしを淡々と映す。派手な展開もない。しかしところどころに喉に小骨が刺さるような違和感が混ぜられている。世間話からわずかにズレてこの世界や人生に対する考察の話になってゆく。そういう奇妙な感覚が本作にも感じられた。会話をしている相手を映さないカメラワークには感心した。こういう土地でこういう村でも人は生きているのだなあと感慨を持った。
シビル・ウォー アメリカ最後の日
2026-02-08アメリカ内戦という大きな枠の設定なのに、お話の中身は戦場カメラマンが大統領にインタビューするためにワシントンを目指すという小さなもの。なんともアンバランス。道中いろいろあるが、珍道中といっては言い過ぎだろうが、薄いお話ばかり。それを埋め合わせするかのようにグロな映像を随所に使うがそれがまた薄っぺらさを感じさせてしまった。
ひまわり
2026-02-05結婚すれば12日間の休暇が貰える。そのあいだに戦争は終わって助かるかもしれない。だから結婚をするという出だしの設定にまず呆れた。そりゃ負けるわ。で、コメディータッチの演出が続いたあとは一転して悲惨な戦場の描写に。主人公の女の性格も前半と後半では別人で、これではただのヒステリー女のようでさえあった。作品として全体の調和が取れていなかった。
愛を耕すひと
2026-02-04
2023
デンマーク
/ スウェーデン
/ ドイツ
洋画、ドラマ、文芸・史劇
出演: マッツ・ミケルセン、アマンダ・コリン、シモン・ベンネビヤーグ、メリナ・ハグバーグ、クリスティン・クヤトゥ・ソープ、グスタフ・リン
出演: マッツ・ミケルセン、アマンダ・コリン、シモン・ベンネビヤーグ、メリナ・ハグバーグ、クリスティン・クヤトゥ・ソープ、グスタフ・リン
上質な映画なのだろうが、如何せんお話が暗くてしんどくて観るのがつらかった。そもそも国土の1/3を占める、岩と砂だけの不毛の地を開墾して実りある土地にしようとするには人手が少なすぎではないかとか個人の年金だけで金が足りるわけないだろうとか疑問が湧いてきてお話についていけなかった。邪魔をする貴族たちもなんでそんなことまでするのかと納得も出来なかった。
美晴に傘を
2026-02-03作品紹介には「自閉症」「聴覚過敏」という言葉が書かれているが、本作中でこれらに触れられるのは終盤の入口ほどにかかってからである。長女になにか障碍があることは察せられるが、これらの情報をもっと早く、序盤から明示することはできなかったのだろうか。それがないから「風変わりな子」の行動原理が見えなくて苛々してしまった。そしてそれ以上に問題なのが母親であったことはお話が進むにつれて明らかになってくる。だが結局はだからどうした以上の感想は得られなかった。
海の沈黙 (2024)
2026-02-03見応えがあった。破滅型の天才画家の物語である。ライバルだった同期生は画壇の重鎮となっているが、主人公の彼は世を捨てていて贋作作りにも手を染めていた。しかしそれは金のためではなく「本物よりも良い作品を作るため」だった。もうひとつ彫り師としても活動している。彼にとっては布地の画布も生身の女体も同じキャンパスだったのである。画の価値とは××賞を受賞したとか○○展に入選したとか高額で売れたとか、そんなもので決められるものではない。そういわれると大概の人間は頷くだろうが、実際には映画の世界でも△△賞受賞!云々と喧伝されているのはご承知のとおり。なぜならそういう惹句が一般受けして興行成績も伸びるからである。つまりはその程度と思われているということだが事実がそうなのだから仕方あるまい。
映画「#真相をお話しします」
2026-02-02「#真相をお話しします」というネット番組のお話なのだが、終戦直後に「真相はかうだ」というラジオ番組があった。進駐軍の制作で、如何に日本軍が日本人をだまして戦争を起こして世界中に被害をもたらしたかという内容のお話を日本人に植えつけるために作られたものだった。幾星霜、そのときより80年に垂んとするに、媒体もラジオからネットに変ったというのに、中身は全く変わっていない。人間とは、社会とは、成長しないものなだなあと暗然とせざるを得ない。エピソードがいくつか語られるのだがそれらは作り物感が強く、内容も薄くてどれも感心しなかった。一部の子役の台詞の下手さ加減もひどかった。
教皇選挙
2026-02-01そもそも神とはフィクションであり、それに由来する物語もフィクションであるならば、それを支える組織=教会はフィクションの極みである。そういう実体のない空虚なもののトップを決めるとなれば民主的な選挙で決めようが鶴の一声で決めようが、どーでもいい話であって、仲間内で勝手にやればいいだけのことなのである。ありがたがってなんだかんだということ自体が無意味としか思えない不信心の身としてはそんな感想しか浮かばなかった。
「桐島です」
2026-01-31
2025
日本
邦画、ドラマ
出演: 毎熊克哉、奥野瑛太、北香那、原田喧太、山中聡、影山祐子、テイ龍進、嶺豪一、和田庵、伊藤佳範、宇乃徹、長村航希、海空、安藤瞳、咲耶、松本勝、秋庭賢二、佐藤寿保、ダーティ工藤、白川和子、下元史朗、甲本雅裕、高橋惠子
出演: 毎熊克哉、奥野瑛太、北香那、原田喧太、山中聡、影山祐子、テイ龍進、嶺豪一、和田庵、伊藤佳範、宇乃徹、長村航希、海空、安藤瞳、咲耶、松本勝、秋庭賢二、佐藤寿保、ダーティ工藤、白川和子、下元史朗、甲本雅裕、高橋惠子
ナチスが台頭したときドイツ共産党も同じ勢いで躍進していた。右が伸びれば左もというわけである。思想は真逆なのになぜ?と思うが実は右も左も現状否定、現状打破という視点では共通しているゆえにシンパシーを感じ合うのだ。右翼の論客・野村秋介は左翼の活動家・永田洋子に差し入れを続けていた。さてそれで桐島聡は20歳頃の言動の結果としてその後50年近くも逃亡生活を続けることになるのだが、それを若かりし日の愚行の結果として捉えていたのか、それとも50年間、当初の志はいささかも曲がることなく燃え続けていたのか。いずれにせよ寮住まいの労務者として50年生きようと思って左翼活動に手を染めたのではあるまい。だから不幸な一生だったとは言わないが。ワインを飲んで歌を歌っていられるならばそれはそれでということだ。

