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  • 5点 おくりびと
    おくりびと
    純粋に、感動しました!!『おくりびと』という映画の内容は勿論、日本映画が『アカデミー外国語映画賞』を取れたことに!当日は私も『WOWOW』で中継を観ていましたが、まるでオリンピックで日本人が金メダルを取っ…(続きを読む)
    純粋に、感動しました!!

    『おくりびと』という映画の内容は勿論、日本映画が『アカデミー外国語映画賞』を取れたことに!
    当日は私も『WOWOW』で中継を観ていましたが、まるでオリンピックで日本人が金メダルを取った時のような感動に包まれました。
    『外国語映画賞』の候補作品の紹介では、チェリストが納棺師になった奇想天外な作品だと紹介されていましたが、そんな解説も、いかにもアカデミー賞的ですね。炭鉱夫がヌードダンサーになった『フル・モンティ』が紹介された時のような、クスクスという笑いが印象的でした。

    『おくりびと』は、死人を扱った特殊な物語ということで、多くの会社が映画化を断った『企画』でしたが、唯一制作資金を出した『TBS』では、勿論この中継を観ていて、受賞した瞬間、『映画班』がある『映像事業部』からは歓声が上がり、社内の関係者が集い、万歳を叫んだようですね。その後も胡蝶蘭などの花束の嵐!そうですよね。これで海外での配給収入も、国内のDVD売り上げも2倍、3倍にもなる訳ですから!
    現在の『映画班』は、ドラマ不振のTBSを支えるソフトを量産していて、関係者は皆、鼻が高そうです。

    アカデミー賞を受賞できたのは、『人間の死』という万国共通の体験と、『風の谷のナウシカ』以来、多くのジブリ作品や映画に携わってきた久石譲のBGMという二本柱が、まさにコンチェルトと化して、外国の方々の心を打ち揺さぶった結果だと感じました。とにかく、オーケストラを前にしたようなすばらしい曲が、ぐっと感涙を誘ってくれます。この音楽の力は心地よかったです!
    久石さんは、脚本を読まれてから作曲することを即決したとのことでした。
    死人を扱う人間への偏見と闘うというテーマも、世界の人々に受け入れられたのだと思います。

    ただ、難を言えば、多少荒削りな脚本(ホン)が気になりました。
    確かに要所要所の壺を押さえて、泣かせの部分は上手いのですが、文学作品のようなナレーションに頼りすぎたり、各シーンが雑だったり、主人公の妻を演じた広末涼子が、いかにもという女性で、夫が本当にしたい仕事を捨ててしまったことに、何の疑問も感じていない点などには首を傾げていました。その仕事が好きで生きてきた人間が、全く別の仕事をして、それが『おくりびと』ならば、女性なら「夫にこんなことをさせて悪い、すまない・・・」という気持ちが逆に起きるんじゃないかと思うのですが、そんな心の機微が描かれてなく、コメディータッチの物語の面白さだけが先行してしまったは非常に残念です。
    荒削りの部分にヤスリを掛けて、ナレーションもできるだけ省き、更にすばらしい脚本にしていたら、それだけ上映時間も長くなり、『仕方なく』という制作サイドの葛藤も見えて来ます・・・。
    晩秋から春までの話なのに、数年が流れたかのような錯覚を与える演出にも、ちょっと違和感を覚えました。

    でも、映画全体として捉えると、山形の“今も残る日本人の心象風景”然とした映像が、とてもすばらしかった。
    地方の田舎町を、これだけ綺麗に描いているのを観たのは、久しぶりです。
    私も今、長年の夢が叶って映画制作に携わり、多忙につき、レビューも書けなくなりましたが、いつかこんな日本映画を一緒に作ってみたいですね。

    私は父を既に“おくって”いましたので、その時の記憶が蘇り、ハンカチは1枚では足りませんでした。人生経験や年齢を重ねてきた人ほど、おいおいと流れ出る泪が止まらない映画だと思います。

    とにかく良い映画です!
    すばらしい日本の伝統と風景、そして日本映画の勝利に、心から拍手を贈りたいと思います。
  • 4点 奈緒子
    奈緒子
    海に落ちた少女を助けようとして、命を落とした漁師を父親に持つ壱岐雄介(三浦春馬)と、その助けられた少女・篠宮奈緒子(上野樹里)が、駅伝を通じて成長してゆく物語です。この映画の売りとしては、フジテレビ系…(続きを読む)
    海に落ちた少女を助けようとして、命を落とした漁師を父親に持つ壱岐雄介(三浦春馬)と、その助けられた少女・篠宮奈緒子(上野樹里)が、駅伝を通じて成長してゆく物語です。

    この映画の売りとしては、フジテレビ系列で放送され話題となった『ラスト・フレンズ』とは180度違った、高校生然とした“愛らしく野性的な本来の上野樹里ちゃん”を垣間見ることができること。
    そして、『14才の母』『恋空』や『ごくせん 第3シリーズ』で野性的な演技が映えた三浦春馬くんの、天才ランナーぶりが、清々しい共感を交え、ラストでの感動を呼ぶというところかも。

    私は、こうした『スポ根』映画が大好きなのですが、さすがに全39巻に及ぶ漫画原作を二時間の映画に短縮するには無理があったという印象を受けました。
    登場人物やエピソードを省きすぎたためか、余りにもあっさりとしていて、悪く言えば物足りなさが残ります。この物語は、連続ドラマにこそ相応しい長編とも思いますし・・・

    でもでも、この映画を何の予備知識もないまま、単体で観る分には、それなりに良い出来に仕上がっていて、そこそこ楽しめる作品となっていることも事実。
    その点(脚色の努力)に関しては、私は四つ星★★★★☆で評価致します。

    『駅伝』を扱った物語(小説)としては、直木賞作家の三浦しをんさん原作の『風が強く吹いている(新潮社刊)』が逸材かも。
    名もない素人の大学生が駅伝チームを結成し、あの『箱根駅伝』に出場するという突拍子もないもの。けれど、作者の綿密な取材と構成とで、一気に読ませてくれます。
    笑いあり、恋あり、苦闘あり、そしてラストでは自らが駅伝をしたかのような爽やかさを体感できる秀作です。興味のある方は、ぜひ一読を。
    これが映画になったら、凄いとも思いますが・・・。
  • 4点 グミ・チョコレート・パイン
    グミ・チョコレート・パイン
    マルチなタレントとして活動をしている大槻ケンヂさんの、『グミ編』『チョコ編』『パイン編』から成る半自伝的小説三部作の映画化です。とのことでしたが、この映画の主人公・大橋賢三(通称:ケンゾー)は、オナニ…(続きを読む)
    マルチなタレントとして活動をしている大槻ケンヂさんの、『グミ編』『チョコ編』『パイン編』から成る半自伝的小説三部作の映画化です。
    とのことでしたが、この映画の主人公・大橋賢三(通称:ケンゾー)は、オナニーばかりしている健康的?な高校生。そんな設定に自分の姿を重ねて見られるのが嫌になったのか、最近では“自伝”であることを大槻ケンヂさん自身は否定しているとか。
    なるほど、監督で大槻さんと親しいケラリーノ・サンドロヴィッチさんも男性ということもあり、この映画は、とことん男性の視点から描かれているのも特徴的です。

    物語は、38歳になったケンゾー(大森南朋)がリストラされ、都内の自宅に戻ってくる2007年から始まります。
    自宅には二年前から溜まったケンゾー宛の年賀状や手紙がそのままの状態で保管されていたのですが、その中に、高校時代にケンゾーが好きだった山口美甘子(黒川芽以)からの『あなたのせいなのだから』というただ一行の『遺書』が届けられていたことから、サスペンス風の真相解明劇が、ケンゾーがバンドを組んだ高校時代(1986年)と現代(2007年)を交互に回想シーンを交え、展開されてゆくというもの。

    特に映画オタクの山口美甘子とケンゾーの会話の中には、懐かしきあの頃の映画タイトルや映画会社名(『狂い咲きサンダーロード』『フルーツバスケット』『ATG映画』等)がぴょんぴょんと飛び出し、当時からの映画ファンにとっては、どれもこれも「あったあった!」と頷き、心躍るものを感じました。
    それだけに、当時を知らない人が観れば、『ぜんぜん、つまらなかった!』という感想にも繋がるとも予想される、賛否両論を含んだ“風変わりでオタッキーな映画”であるとも言えるでしょう。

    全体的には、低予算の割には、私はとてもよく、主人公たちの青春像が描けていたと感じました。
    『人生は、グミ・チョコレート・パインのようなもの』との台詞が印象的です。そうなんですよね、人生で遠くに行ける人というのは、他人とは違うものを持っている人だし、それだけ寂しさも人一倍に味わった人かも知れません。

    8年ぶりとなるあの『電気グループ』の新曲も、この映画の魅力ともなっています。
  • 4点 野良犬たちの掟
    野良犬たちの掟
    『題名のない子守唄』に出演しているミケーレ・プラチドによる監督作品で、イタリアのアカデミー賞と言われる『ダヴィッド・ディ・ドナッテロ賞』で8部門を制覇した異色作です。子供時代にそれぞれが付けた“愛称”…(続きを読む)
    『題名のない子守唄』に出演しているミケーレ・プラチドによる監督作品で、イタリアのアカデミー賞と言われる『ダヴィッド・ディ・ドナッテロ賞』で8部門を制覇した異色作です。
    子供時代にそれぞれが付けた“愛称”で呼び合う登場人物のキャラクターと、その後の退廃的な成長物語が、マフィアの存在に未だに苦しみ、感情表現が豊かなイタリア人に受けたのかも知れません。

    物語は、少年時代の仲間が、やがて成人し、ローマの裏社会を乗っ取ろうとする話ですが、実際にイタリア国内で起こった事件を絡め描かれているため、ドキュメンタリータッチを含んだギャング映画というのが、ひとつの見どころかも。
    凄惨な殺害シーンや物語は、決してハリウッド映画の『ゴッドファーザー』シリーズのように、多くの観客に解りやすく描かれている訳でもなく、展開も洗練されたものではありませんが、それだけに実に生々しい筋書きとなっていました。
    『ゴッドファーザー』がワールドカップで私たちが目にする、国対国の明るいサッカーならば、こちらは下町対下町の友情と裏切りを扱った草サッカーに例えられるでしょうか。

    私はハードボイルドが大好きですが、後味の悪さもあり、この映画はあまり好きになれませんでした。
    お勧めの星印は、三つと半分と言ったところかも・・・。

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